4月29日、『涼宮ハルヒの弦奏』が東京厚生年金会館にて開催されました。
これは『涼宮ハルヒの憂鬱』で使用された主題歌、キャラクターソング、劇伴(劇中BGM)などをクラシック調にアレンジし、東京フィルハーモニー交響楽団によるオーケストラの演奏でお送りするというコンサートです。アニメ作品によるこの種のクラシックコンサートは前例がないわけではありませんが、非常に珍しいものといって良いでしょう。
ここでは、そのコンサートのもようを簡単に紹介したいと思います。
まず、楽団員の皆さんが入場し、さらに指揮者のフィリップ・チュウ(Philip Chu)さんがステージに登場して指揮を執ろうとすると、ステージ脇から魔法使いの姿をした長門こと茅原実里さんが登場。チュウさんに、魔法使いのステッキ(先端が星になっているあれです)でおまじない(?)をかけた後、そのステッキをチュウさんに手渡し。チュウさんはそのままこのステッキを指揮棒代わりにして、演奏が始まりました(笑)。
コンサートの1曲目は「恋のミクル伝説」。あの「ミクル伝説」がオーケストラで演奏されるというだけでも驚きですが、原曲の楽しさや元気さを残しつつも、優雅かつ荘厳なクラシックアレンジが施された曲になっていました。
1曲目の演奏が終了した後、今回の司会進行役、谷口役の声優・白石稔さんと、国木田役の声優・松元恵さん、そして「SOS団仮団員」こと、『涼宮ハルヒの憂鬱』劇伴作曲を担当した神前暁さんが登場。白石さん、松元さんによる曲紹介のあと、神前さんは「あまりにも壮大なイントロで始まったので、『なんの曲なんだろう』と思われた方もいるかもしれませんが、『ハルヒ』の1曲目といったらこれですよね。ここまで壮大で豪華な『みっみっみらくる』は、後にも先にもここでしか聞けないんじゃないでしょうか(笑)。それに続く演奏も非常に華やかかつ優麗で、コンサートの幕開けを飾るにふさわしいものだったと思います」と、曲について解説してくれました。
コンサートはこのように松元さんの解説を挟みつつ進行し、『ハルヒ』のさまざまな曲が、時にはよりゴージャスになって壮大さが表現されたり、時には原曲からがらっと雰囲気が変わって優雅さが現れたりするなどしつつ、オーケストラならではの音の響きが披露されました。また、ヴァイオリンのソリスト由良浩明さん、ピアノのソリスト本田聖嗣さんによる演奏も行われました。
さらに、今回のゲストとして出演した涼宮ハルヒ役の平野綾さんは「冒険でしょでしょ?」「Lost my music」、長門有希役の茅原実里さんは「雪、無音、窓辺にて。」を、オーケストラアレンジにあわせて見事に歌い上げてくれました。そして曲と曲の合間には、平野さんがハルヒの声で「ちょっと何やってるのよフィリップ!」と言ってチュウさんを引っ張り出し指揮台に立たせたり、キョンに誘導される長門のように、棒立ちの茅原さんがチュウさんによってステージ上を案内されたりという、『ハルヒ』のコンサートならではのパフォーマンスも見られました。
そして最後は皆さんおなじみの曲「ハレ晴レユカイ」と、平野さんのボーカルつきの「God knows...」によってコンサートは終了。この2曲について神前さんは「『ハレ晴レユカイ』はおなじみのフレーズから始まって『来るか!』と思いきや、Aメロではぐっと抑えたロマンチックな雰囲気で、Bメロからどんどんドラマチックになって、サビは勇壮に歌い上げる、組曲のような面白いアレンジで、大変聴き応えがありました。『God knows...』については、私はこの曲のアレンジが大好きで、80人のオーケストラをバックに従えて歌う平野さんは、"オルレアンの乙女"ジャンヌ・ダルクのように勇ましく見えました」と解説。
そして、今回ボーカルを務めてくださった平野さん、茅原さんはそれぞれ以下のようにコメントされました。
平野
「『涼宮ハルヒの憂鬱』にはいつも驚かされています。最初にこのコンサートのお話をいただいたとき、楽しみではあったんですが『本当にそんなことをやっちゃうの? 実現できるの?』と、どうなるか想像もつかなかったんです。ですがこうして実際にステージに立って歌うことができまして、また涼宮ハルヒの新たな1ページが刻まれたという感じがしています。その1ページに関われたことが本当に嬉しいです」
茅原
「私はクラシックコンサートになかなか行く機会がなかったので、今回そのコンサート中で歌わせていただくことになり緊張していたんですけど、本当に素晴らしかったです。リハーサルの時から、今まで何度も聴いたことのある音楽が素晴らしいアレンジになっているのを聞くことができて、涙が出てしまうほど感動しました。その中で、自分にとっても大切な長門有希のキャラクターソングを歌わせてもらって皆さんに聞いていただくことができて、ありがたいし幸せです」
このコメントのあと皆さんが退場したのですが……白石さん、松元さん、神前さんが再び舞台に戻ってきました。実は白石さんたち、締めの挨拶を忘れたまま退場してしまったので、改めて出てきて締めの挨拶をするという情けないことに。
松元「これもハルヒのミラクルですよね?」
白石「そううまく言って、言い逃れようとしているんじゃないですか?」
神前「あとで怒られるのは誰ですか?」
白石「我々3人ですからね」
松元「え? 大将ひとりだけですよね?」
白石「うそ〜ん!?」
松元・神前「ね!」
こうして『涼宮ハルヒの弦奏』は無事(?)終了いたしました。まあ確かにこのようなトラブルがあるのも「ハルヒならでは」でしょうか? 閉幕後、白石さんたちに何が起こったかは……ご想像にお任せいたします(笑)。
当日の曲目リスト |
第一部
- 恋のミクル伝説
- いつもの風景〜激烈で華麗なる日々
- 最強パレパレード
- 非日常への誘い〜悲劇のヒロイン〜ビーチバカンス
- 好調好調〜みくるのこころ〜小さくても素敵な幸せ〜おいおい〜コミカルハッスル
- 冒険でしょでしょ?
- 交響曲第7版ハ長調作品60「レニングラード」第一楽章より
第二部
- 素直な気持ち〜ある雨の日〜ハルヒの想い
- ザ・ミステリアス? 朝倉涼子の真実〜冬の足音
- Lost my music
- SOS団始動!〜何かがおかしい
- 雪、無音、窓辺にて。
- のどかな商店街〜ユキ登場〜ピンチっぽい!〜ミクル変身! そして戦闘!〜大団円
- ハレ晴レユカイ
アンコール
- God knows...
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